セックスについて語れない

親子間でセックスについてしっかりと話せない日本の家庭環境が、強烈な不倫バッシングを生み出す土壌を作っているんじゃないか?

日本とは真逆なフランスの家庭を参考にしながら、そんな事を考えてみたいと思います。

前回、フランスの家庭では子供がまだ小さな頃から、両親が「セックスをする生身の男女」だという事実を直接的・間接的に子どもに伝える、といった内容の記事を書きました。

フランスの家庭では子供が小さな頃からセックスの話をするという事について

フランスと日本では、家庭での親子の「セックス」に対するコミュニケーションがあまりにも違い過ぎて僕自身、衝撃を受けました。

そんな幼少期を過ごしたフランスの子供達が思春期を迎える頃、「セックス」についての価値観はどのようになっているのでしょうか?

セックスについての価値観

前回と同じく、プラド夏樹さんが書く『フランス人の性 なぜ「# MeToo」への反対が起きたのか』という本を参考にしながら話を進めていきたいと思います。

フランス人の性


著者(プラド夏樹さん)の子供(男の子)が15歳の頃のエピソードが紹介されていました。

興味深い内容なので引用してみたいと思います。

ある週日の夜。ディアンヌちゃんのうちに泊まりに行ってくると言い出した。

「ごめんね、ママン。でも、ディアンヌちゃんの家にお父さんとお母さんがいないのは今晩だけだから、どうしても行きたい。心配しないで、コンドームするから。明日はちゃんと学校行くね」

最後にニッコリ笑う絵文字がついていた。

15歳ですから、日本では中学3年か高校1年という年代ですね。

このように、セックスがしたいという要望を、親に対してしっかりと真正面から伝えられる日本の15歳の少年っていったいどれくらいいるのでしょう?

間違いなくフランスに比べると圧倒的に少ないでしょうね。

僕が15歳の頃は、恥ずかしくて間違いなくそんな事は口が裂けても言えませんでした。

というか、そんな事ができる相手もいませんでしたけど(笑)

幼少期から「セックス」について、必要以上に隠すことなく家庭内で語ってきているフランス。

反対に、家庭内で「セックス」についてひたすら隠し続ける日本

その違いが、思春期に差し掛かってくると、如実に表れてくるということなんでしょうね。

思春期を迎えたフランスの子供

僕が子供の頃、テレビドラマなどでエッチなシーンが流れると、そこまで過激ではなくても、親はいきなり新聞を読み始めたり(笑)、ピーンと張り詰めた空気が流れていたのをよく覚えています。

家庭で「セックス」について語り合う土壌など皆無でした。

日本の多くの家庭は、多少の違いはあれど似たような感じではないでしょうか。


先ほどのエピソードから分かるのは、フランスの子供たちは、15歳の段階ですでに、「セックス」が隠したり、恥じらいを覚える対象ではない、ということ。

家庭内でのコミュニケーションだけじゃなく、日本より圧倒的に進んでいると言われるフランスの学校で行われる性教育も影響しているのかもしれません。

セックスは、恥ずかしがったり、過度に隠したりするものじゃないから、付き合ってる彼女とセックスしたいということを、親に対しても堂々と言う事ができる

セックスについて堂々と語る

両親がそのようにしてきたから、子供もそれが普通の態度ということになる。

自分が成長してセックスする年齢になると、例え相手が両親であろうと、「セックス」というものは、他人からとやかく言われたりするものじゃないという感覚が自然と身についているんでしょう。

なので逆に、他人のセックスに対して、色々と言ったりする筋合いのものじゃないということも自然と身についているんじゃないでしょうか。

そういった感覚で成長すると、大人になってからも、他人のセックスに対して、とやかく言うという人間にはならないんじゃないでしょうか。

そのような思春期を経て、大人へと成長していくフランスの子供たち。

人間のプライバシーの中核にある「セックス」というものに対して、そのような適切な対応ができる人であれば、あらゆる面で他人に過度に干渉したり、逆に他人に依存したりするケースは圧倒的に低くなることが明白でしょう。

そのように、大人と子供の「セックス」にまつわるしっかりしたコミュニケーションというのは、人格形成というか、精神的な成長に本当に大きな影響を及ぼすものなのかもしれません。


他人の不倫に対して強烈にバッシングを繰り返す日本の人々。

不倫は絶対にダメ

反対に、他人の不倫などほどんど気にも止めないフランスの人々。

その違いは、幼少期から思春期における家庭での「セックス」に対するコミュニケーションのあり方にも大きな要因がありそうです。

僕はやっぱり自分の子供たちには、フランス人のような寛容な姿勢を持つようになってほしいなぁと思います。

どこまでフランス人の家庭のようなコミュニケーションができるのかどうか、自信はありませんが(笑)、フランスの家庭の実情を知ることはとても勉強になりました。

子供が小さいうちから過度な自立は要求しない日本的な良さを残しながら、フランス的な良さも取り入れていくというバランスに挑戦してみたいと思いました。